コリダリス・フマリィフォリア
Corydalis fumariifolia ssp. fumariifolia
ケシ科キケマン属
画像をクリックすると大きくなります
ソ連と中国の国境にはさまれた地域、カムチャツカ半島、サハリン、千島列島の海抜600mまでの低地の明るい森林内、林縁に分布し、岩石が露頭するような泥炭地に自生しています。
日本に自生するエゾエンゴサク(Corydalis fumariifolia subsp. azurea )の基本種となっています。
エゾエンゴサクについては、北海道のものと本州のものは違うのではないかと議論されてきましたが、最近北海道に分布するエゾエンゴサクはコリダリス・フマリィフォリアの亜種でコリダリス・フマリィフォリア・アズレア(Corydalis fumariifolia subsp. azurea)であるとされ、本州に分布するものにはオトメエンゴサクという和名とコリダリス・フクハラエ(Corydalis fukuharae)という名が与えられ、距が細長い全く別種とされました。
また1970年代にエゾエンゴサクの異学名とされたコリダリス・アンビグア(Corydalis ambigua)はカムチャッカ半島に分布する種類を指していることが明らかにされました。
春早く、球根から1〜2本の花茎を8〜20cmに上げます。
この種類の同定を困難にしているのが小葉の形態だといわれています。全縁楕円形や全縁線形、くしの歯状に浅裂するものまで、何でもありのようです。小葉は三葉からなるか、三深裂した2回羽状をしています。
総状花序に淡青色から濃青色、濁ったピンク、まれに紫色や白色の花を5〜15輪つけます。
花は横から見ると三角形で、上外弁の距は他のコリダリスに比べてまっすぐで短く、下外弁にも袋状の距をつけます。
萼はありません。苞葉は自生地域により様々の形態をしています。この株は全縁の楕円形で小花梗より長いようです。
日本の植物に関して関わりの大きいドイツ系ロシア人の植物学者カール・マキシモビッチ(Carl Johann Maximowicz:1827-1891)さんが、新しい品種として採取し、1859年に公表しています。
種小名フマリィフォリアは「フマリアの葉の」という意味で、ケシ科フマリア(Fumaria)属の植物のような葉をしていることを指しています。
ブログ初出:2020/3
花期:春
花色:青