ヒメシロネ(姫白根)
リコプス・マーッキアヌス
Lycopus maackianus
シソ科シロネ属
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シロネ属はヨーロッパ、アジア、オーストラリア、北アメリカの湿地、沼池地、湿原に約20種、日本にはその内5種が分布しています。
葉柄のない鋸歯葉か羽状葉で、葉脇に唇形花を輪状に密につけます。4本の雄しべの内2本は仮雄蕊か退化しており、果実は分果です。
ヒメシロネは日本では、全国の山間の湿地や沼池畔、用水路脇などに自生する多年草で、日本以外では、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部に分布しています。
根茎から白色の細長い地下茎を出し、節にはひげ根が生じます。
4角形の茎は地下茎から直立し、基部ではあまり分枝せず、上方で分枝します。背丈は30〜70cmになります。
厚みのある葉は対生し、鋭い鋸歯を持ち、長さ4〜8cmの先の尖る披針形から広披針形で、上部の葉ほど小さくなる傾向があります。花に隠れていてよく見えませんがほとんど葉柄がなく、基部は心臓形になることもあります。
夏から秋にかけて上部の葉腋に小さな唇形花を密につけます。
萼は長さ4mmほどで、中ほどまで5裂し、萼の先は刺状に鋭く尖っています。
花冠は白色で、長さ約5mm、筒部が短い唇形で、上唇は直立して先は浅く2裂、下唇には紫色の斑紋があり、3裂しています。
雄しべは2本で、花柱とともに花冠から飛び出します。花柱の先は2裂します。
果実は分果の長さ1.5mmほどの4個の分果です。
和名は姫白根の意味で、シロネ(白根、Lycopus lucidus)は、地下茎が白いのでそう呼ばれ、シロネより小型なので、ヒメシロネというようです。
属名のリコプスは、ギリシャ語のlycos(狼)と pous(足)で、葉が狼の足に似ている種類がこの属にあるからといわれています。
種小名マーッキアヌスは、ロシアの博物学者で、地理学者、人類学者のマーック(Richard Otto Maack:1825–1886)さんに因みます。彼はロシアの東部からサハリンにかけて、特にウスリー川やアムール川周辺の探検をし、知られていない生物やの生態を調査しました。
ブログ初出:2015/9
夏
花色:白