メリティス・メリソフィルムはヨーロッパ中南部から英国、小アジアにかけての、海抜１４００mまでの低山のカシやブナの落葉樹林帯に広く分布します。
一属一種の宿根草ですが、広い範囲に分布するためか、多くの異学名を持っています。

 

花の色によって次のような亜種が知られています。
🌑Melittis melissophyllum ssp. albida　サルディニアからトルコにかけての地中海東部に分布する白花種。
🌑Melittis melissophyllum ssp. carpatica　オーストリアからバルト海諸国までの東欧に分布。「ロイヤル・ベルベット・ディスティンクション」のような白に赤紫の模様の花を咲かせます。
🌑Melittis melissophyllum ssp. melissophyllum　英国からイタリア、スペインにかけてのヨーロッパ西部に分布。ピンクの花を咲かせます。

 

背丈は30〜50cmで、6cmほどの鋸歯のある、やや厚みのあるシソの葉で、レモンバームの葉とよく似ています。
この「ロイヤル・ベルベット・ディスティンクション」はせいぜい３０ｃｍほどの草丈です。

 

5月から夏にかけて、互生する葉腋から2〜6個、同じ方向にペアになって2個の唇形花をつけます。
花は上下で3cmほどあり、3裂する下唇の真ん中の部分に赤紫の大きな模様がはいります。
肥沃で水はけが良く、明るい日陰が好みで、根茎によって広がっていきます。

 

英名は bastard balm　で、偽レモンバームという意味です。葉には甘い香りがします。
属名のメリティスは、ギリシア語で meli は蜂蜜、melissaはミツバチという意味で、そこから転じて「ミツバチをひきつける」という意味があります。
種小名メリッソフィルムは「レモンバーム（Melissa officinalis：セイヨウヤマハッカ（西洋山薄荷））の葉の」という意味です。　

 

 

 
ブログ初出：2015/5
春
花色：ピンク