ミオソティス・コレンソイ
Myosotis colensoi
ムラサキ科ワスレナグサ属
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ミオソティス・コレンソイはニュージーランド・サウスアイランド東部の石灰岩の崖地、あるいは石灰岩地の表土、レンジナ(温帯から冷温帯の湿潤気候地域にみられる石灰岩風化物が主体の腐葉土壌)に自生する多年草です。
開けた石灰岩地ではよく目にする忘れな草のようで、現地ではNZ forget-me-not(ニュージーランド・ワスレナグサ)と呼ばれています。
ニュージーランドには忘れな草が50種ほどが知られており、白いワスレナグサの仲間の多くがニュージーランド原産です。
地面にべったりと幅0.5〜1cm、長さ3〜4cmの長楕円披針形の根生葉を広げ、こんもりと茂ります。
決して立ち上がらない短い花茎を延ばし、その先に径8mmほどの白い小さな忘れな草形の花を、春の内から6月頃までポツポツと葉の上にべったり拡げます。
副花冠は薄い黄色で、濃い黄色の葯が開口部から覗きます。
期待して、満開になるのを待っていたら、その様子もなく、お披露目が遅くなってしまいました。
花を観察していて気がついたのは、雌しべが花から跳び出していることです。
普通は花筒部に膨らんでいる付属物の奥を覗いてみても特段なにも見えません。
ワスレナグサ属に限らずムラサキ科の花で雌しべが見えるのは珍しいだろうと思います。
種小名のコレンソイはニュージーランドの生物学者トーマス・カーク(Thomas William Kirk:1856–1936)さんがエキザレナ・コレンソイ(Exarrhena colensoi)という名称で 、ウイリアム・コレンソ(William Colenso:1811–1899)さんを顕彰して1896年に名づけています。その後1926年になってエキザレナ属からワスレナグサ属に移されました。 コレンソさんは英国生まれのケルト(コーンウォール)人でニュージーランドに移住した宣教師で、出版業や政治、植物学、探検に関わった方です。コレンソさんはニュージーランドの未知の植物標本や情報をキューガーデンに送り、1866年にニュージーランド人として初めて、王立園芸協会のフェローに選ばれています。
ブログ初出:2009/5
春
花色:白