ヤエヤマスズコウジュ(八重山鈴香需)
スズキア・ルーキュエンシス
Suzukia luchuensis
シソ科ヤエヤマスズコウジュ属
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ヤエヤマスズコウジュ属は以前はカキドオシ(Glechoma)属に含まれており、1930年に新しく立てられた属で、台湾と沖縄に分布が限られています。
2種が知られていて、本種以外にスズキア・シキクネンシス(Suzukia shikikunensis:シキクンソウあるいは鈴木草)が台湾に分布するとされていますが、スズキア・シキクネンシスの情報は極めて限られています。
ヤエヤマスズコウジュは南西諸島(石垣島と西表島には分布していません)を含む沖縄や台湾の海岸近くの石灰岩地に自生しているそうです。
這い性なので背丈は5cmほどですが、茎は20〜40cm延ばして広がっていきます。
厚みのある葉は粗い鋸歯のある円型をし、私の持っている株は艶がありますが、ないものもあるようです。
花は明るいピンク色の唇形花で、茎の先の方の葉腋につきます。
葉は対生していますので、多くは2個対になって、同じ方向に花を開きます。
花の長さは1cmほどで、下唇は真ん中の裂片が大きく、両端は小さい3裂しています。
4月から秋まで咲いています。
環境省のレッドリストには、「絶滅の危険が増大している種(絶滅危惧II類(VU))に記載されています。
しかし蔓を伸ばして他のポットに入り込んでいくので、ついつい粗末に扱ってしまいます。それでも私の所では種子が出来ないので広がると言っても大したことはありません。
コウジュというのはナギナタコウジュの全草を乾燥させた生薬を香薷(こうじゅ)と呼びます。八重山に自生する花が鈴のようなコウジュの仲間という意味です。
ただヤエヤマスズコウジュはスズコウジュ(Perillula reptans)の花と似ていないと思います。
属名のスズキアは鈴木重良(1894-1937)さんの名に因みます。鈴木さんは昭和12年台北帝国大学農林専門部学教授をされた方で、1917年に台湾に移住して以来、台湾の植物研究、特に樹木に関する調査に尽力しました。
種小名のルーキュエンシスは「琉球の」という意味です。
ブログ初出:2015/6
春〜秋
花色:ピンク(赤)